生活購買店 生活の幅を広げるモノと道具

作り手 戸川雅尊 田中孝太

海岸線に広がる美しい虹ノ松原を車で抜け、その先にお城の天守閣が見えてくると、ちょっとした小旅行に来たような気分にさせてくれる唐津の街。もっとも、自分たちが訪ねる場所はもっぱら窯元だったりすることが多いので、街中を抜けて(時には名物の“からつバーガー”をほおばりながら)そのまま山間部をグルグルと回るのが定番コースです。一昨年と昨年秋にも唐津のうつわを紹介する企画展を開催して三年目。これまでは唐津市北波多にあるギャラリー草伝社さんにご協力頂いてましたが、今回は30代の作り手 二人にお願いして作品を用意してもらいました。

 

まずは一人目のご紹介。唐津市内から呼子方面へ車で走ること20分。山林と水田に囲まれた八床(やとこ)と呼ばれる地域に戸川さんの窯はあります。窯への入り口に建てられた看板は、うっかり見落としてしまうほどさり気なく、細い砂利道を不安になりながら進んで行くとやっと工房に到着します。周りは草木に囲まれて民家もなく、まるで「ポツンと一軒家」に出てきそうな雰囲気の場所です。

最初に訪問した時は、ご自身で作ったという割竹式登り窯を案内してもらった後、工房にお邪魔してしばらく作陶風景を拝見。戸川さん自身あまりしゃべるタイプではないのですが、ラジオから流れるFM放送をBGMに、陶芸を始めたきっかけや、どんなことに興味を持っているのか、断片的な答えを繋いでいくとうつわに対する想いが垣間見えます。途中でふと、古い陶片を手にしながら、いつか奥高麗茶碗のようなものが作れたらと、はにかみながら答えてくれたのが印象的でした。僕にとっての戸川さんの印象は“柔”。お父さんが剣道の指導者だったこともあって、ご自身も小さい頃から練習に打ち込んでいたそうですが、作品を見ると厳しさや勢いというものよりも、土味のやわらかさや静かな印象を受けます。主張するのではなくそっと受けとめるうつわといった感じでしょうか。草伝社に初めて行った際に買ったのも戸川さんのうつわだったので今回の作品も楽しみです。

 

もう一人の作り手は、唐津市相知町坊中(ぼうちゅう)に窯を構える田中さん。年齢は戸川さんより下ですが三人の男の子を持つお父さんです。田中家のダイニングにお邪魔すると、大小バラバラの椅子がにぎやかに5脚並び、テーブルには落書きらしきものが多数。子供たちの仕業とかと思ってよくよく見ると、中には大人の字で電話番号まで書かれていて、、、ご夫婦ともにおおらかで飾り気のない人柄が魅力です。

そんな田中さんの作品は、戸川さんとは対極にあるような”動”のうつわ。例えば、朝鮮唐津と呼ばれる白釉と黒釉が混じった古典的な技法で作られたぐい吞みや花器を手に取ると、まるで地面からそのまま掘り出したてきたような存在感を感じます。それは、独立前に師事した中川自然坊さんや韓国の金栄吉さん(田中さんは韓国の永ちゃんと呼んでいた)の影響も大きいと思いますが、単に造形的に美しいとか、モダンであるとか、装飾のセンスがあるといった基準とは違った、枠に収まらない力強さと奔放さが魅力です。もちろん、そうは言ってもうつわは器。見た目のインパクトはありますが、料理を盛ってもしっかりと映えますので、使って実感して頂きたいです。また、田中さんは「肥前狛犬を学ぶ会」に所属しているらしく、時には色々な神社を訪ねて狛犬や鳥居を見るのが好きなのだそう。今回リクエストに応えて頂き、可愛らしい狛犬も作品として作って頂いたので、ぜひご覧ください。

 


 

『 唐津 戸川雅尊・田中孝太 展 』

2019.10.26 sat – 11.10 sun
※会期中の定休日 10.29(tue)・11.5(tue)
作り手在店日 10.27 sun