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『わら細工 たくぼ』 作り手 甲斐 陽一郎

 

わら細工たくぼ

わら細工たくぼ

わら細工たくぼ
お店のある吉井から車で約3時間、宮崎県日之影町に『わら細工 たくぼ』の工房はあります。周りを深い山々に囲まれた小さな町には、何本もの大きな橋が架かり、大小の河川が生み出す深い谷を覗くと、眼下にはダイナミックな景色が広がっています。

この自然豊かな日之影町は隣接する高千穂とともに神話の里として広く知られ、昔からしめなわづくりが盛んに行われてきました。たくぼさんは、この地で60年以上に渡りしめなわを作りつづけ、現在は若い甲斐 陽一郎さんが跡を継いでいらっしゃいます。

ひとくちにわら細工と言っても、単に工房内にこもってわらを編む(こちらでは、綯う(なう)と言うそうです)だけではありません。春は周りの農家さんに加わり自分たちで田を耕し、晩夏から秋の刈り取りに向けて稲を育てます。この季節は外仕事が多く、甲斐さんも毎年 真っ黒に日焼けするそう。さらに刈り取り作業も、美しく使いやすい稲わらが取れるようコンバインではなく手作業で行い、その後20日ほど天日干してから、最後に編み上げてやっと完成に至るのです。

昔は、農閑期にしめ縄やわら細工を作る職人さんが日本各地にいたと聞きますが、甲斐さんは、これまで引き継がれてきた伝統を絶やさないためにも、農業との兼業ではなく、専業の仕事として高千穂郷の神社や家々をはじめ、全国各地で販売するわら細工を作っていらっしゃいます。

これまでお店では、正月前にたくぼさんのわら細工を紹介してきましたが、もともと高千穂郷では、しめなわを正月だけではなく年中飾る風習があることから、一部の商品は、通年取り扱いを始めることになりました。余分な装飾をそぎ落としたシンプルな佇まいのわら細工。長寿や家内安全を願う願掛けの飾り物として、室内に飾って楽しんでください。